線形代数 行列とは

線形代数

ここでは,大学で習う線形代数についての基本を説明していきます.また,対象は特に問いません.数学が苦手な方でも理解しやすいような例を利用しているので安心して読み進めてください.なお,当サイトの線形代数の進め方について知りたい方は以下をクリック.

線形代数の進め方

この回では,線形代数の基本中の基本である行列について説明していきます.

キーワード:行列、型、行、列、成分、正方行列、零行列

行列とその型

行列(Matrix)とは簡単にいえば,文字や数字を縦と横に並べた集合です.

といっても初めて行列という言葉を聞いた方は,何それおいしいの?状態だと思うので(笑).行列の形を先に見てみましょう.

\[\begin{pmatrix} a & b \\ c & d \end{pmatrix} \begin{pmatrix}1 & 2 & 3 \\ 4 & 5 & 6 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} 5 & π & \sqrt{2} & 1 \\ 3 & 13 & \frac{π}{4} & 0 \end{pmatrix} \]

上の( )に囲まれているものを行列と呼びます.

行列にはというものがあります.例えば,上の例の左側の行列は2行2列の行列,中央は2行3列の行列,右側は2行4列の行列です.この何行何列の部分が行列の型です.

一般にn行m列の行列とは,以下のようになります.

\[A = \begin{pmatrix} a_{11} & a_{12} & \cdots & a_{1m} \\ a_{21} & a_{22} & \cdots & a_{2m} \\ \vdots & \vdots & \cdots & \vdots \\ a_{n1} & a_{n2} & \cdots & a_{nm} \end{pmatrix}\]

このとき,行列の横一列を行、縦一列を列と呼びます.この行列の場合,行がn個,列がm個あるのでn行m列といいます.

型の表し方はほかにもいくつかあり,n×m行列やn×m型などと呼ばれることもあります.自分の好きな言い方を使うと良いと思います.

各aの右下についている小さい数字は成分と呼び,行列の一つ一つの要素を表しています.成分は例えば,上の例の一番右下のものであれば,(n, m)成分というように( )を使って成分を抽出します.

また,列あるいは行が一つしかないものもまた,行列であることに注意しましょう.

\[A = \begin{pmatrix} a & b & c & d \end{pmatrix} B = \begin{pmatrix} a \\ b \\ c \\ d \end{pmatrix} \]

特別に,Aを行ベクトル(1行4列),Bを列ベクトル(4行1列)と呼びます.

最後に,行列についての学び始めのうちは型に意識しましょう.型を意識しておくことで,この後の線形代数の理解がしやすくなります.

正方行列

行列の中で,その型がn行n列のとき,一般にその行列をn次正方行列と呼びます.

\[A = \begin{pmatrix} a & b \\ c & d \end{pmatrix} B = \begin{pmatrix} 1 & 0 & 0 \\ 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix} \]

例えば上の行列では,Aは2次正方行列,Bは3次正方行列と呼びます.

正方行列は頻繁に出てきてよく使う行列です.”行と列の数が同じ行列なんだ”と思ってもらえれば良いです.

零行列

すべての行列の成分が0である行列を零行列と呼び,Oで表します.

\[O = \begin{pmatrix} 0 & 0 & \cdots & 0 \\ \vdots & \vdots & \cdots & \vdots \\ 0 & 0 & \cdots & 0 \end{pmatrix}\]

この行列は名前の通り直観的に分かりやすいので,あまり気にして覚える必要はありません.

行列にも数字のように0を表すものがあるんだという解釈でいきましょう.

まとめ

1.行列とは文字や数字を縦と横に並べた集合であり,横の要素を行,縦の要素を列と呼ぶ.

2.行列には型があり,n行m列の行列やn×m行列,n×m型の行列と呼ぶ.

3.行列の一つ一つの要素を成分と呼ぶ.

4.n次正方行列は,型がn行n列の行列である.

5.零行列は,すべての成分が0である行列である.

練習問題

1.以下の各行列の型を答えなさい.また,各行列の成分の中で自分の好きな箇所を3つずつ選んで,その成分と値を書きなさい.また各行列の中で正方行列があれば,その行列を記号で答えなさい.

\[A = \begin{pmatrix} a & b \\ c & d \end{pmatrix} B = \begin{pmatrix} a & b & c \\ d & e & f \\ g & h & i \\ j & k & l \end{pmatrix} C = \begin{pmatrix} a & b & c \\ d & e & f \\ g & h & i \end{pmatrix}\]

 解答はこちら → 練習問題解答

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